生体中の水分の凍結状態を制御することにより,食品や生体組織を長期保持するための基礎研究として,食肉をサンプルに用いて氷結晶の成長状態の観察を行った.また,長期凍結保存による蛋白質の構造変化と温度の関係を解析し,脂質や骨格筋を構成する蛋白質が氷温以下の低温を経験すると,非可逆的な構造変化をすることを確認した.タンパク質を構成する全原子の動力学シミュレーションから,常温(37℃)と比較して,-50℃ではコラーゲンは水分子の配位により約7%伸張し,一方筋肉を構成するミオシンは,分子構造の折れやたたみ込みにより約1%収縮することが明らかになった.
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