食品に含まれる機能性成分には疾患を予防する効果があると期待される。食品中のどのような成分がどのように疾患を予防するのかを明らかにするためには、摂取した成分が体内の「どこに」、「どのような形」で存在し、その場及び個体にどのような影響を与えているのかを理解することが重要である。本研究では、機能性成分が存在する場での代謝変動解析をin situメタボロミクスと定義し、in situメタボロミクスを用いた機能性成分の評価が重要であることを実証することを目的とした。最終年度及び研究期間全体を通じて実施した研究の成果を以下に示す。 機能性が期待される食品成分(論文発表前のため具体的な名称は伏せる)をマウスに投与し、脳、肝臓、膵臓、精巣、眼における代謝変動を解析した。その結果、いくつかの臓器で特徴的に代謝が変動し、その結果、血清成分も変化することを明らかにした。この成果は現在論文に投稿中である。また、コメに存在するγオリザノールやビタミン類などの可視化を行う中で、コメ胚乳中でリゾホスファチジルコリンの特徴的な分布を発見した。リゾホスファチジルコリンの分布は、結合する脂肪酸の種類によって異なっており、オレイン酸やリノール酸などの不飽和脂肪酸を有するものはコメ胚乳の外側に分布するのに対し、飽和脂肪酸であるステアリン酸を有するものは胚乳内部に存在していた。この成果はrapid communications in mass spectrometry(2014)で発表した。
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