研究課題/領域番号 |
25660111
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
日浦 勉 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (70250496)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | スギ / 照葉樹 / 皆伐 / カルシウム / 硝酸 / リターフォール |
研究概要 |
北海道大学和歌山研究林で複数の照葉樹林流域と皆伐地、人工的にスギを植林した複数の造林地流域の河川水、土壌中のカルシウムを中心とした栄養塩濃度と土壌および河川底生無脊椎動物群集の比較解析を行うと共に、甲殻類を各流域河川と森林土壌表層において実験的に飼育し、その成長と生残を流域間で比較した。 各流域にリタートラップを複数設置し、1ヶ月に一度回収して自然林で優占する照葉樹数種(アカガシ、タブノキ、イヌガシ等)とスギリターフォール量測定と物理化学特性の分析を行った。 各流域で複数回流速や水温、phなどを測定するとともに河川水を採取してカルシウムをはじめとする各種栄養塩の分析を行った。また複数の土壌コアを採取し、リター層と土壌層の各種栄養塩の分析を行った。照葉樹、スギ植林、皆伐の各流域で河川では2ヶ月に一度のサーバネットサンプリング、土壌では夏期と冬期に区画掘取りにより無脊椎動物群集をサンプリングし群集解析を行った。 その結果、スギ植林地流域では照葉樹林流域や皆伐流域に比べ甲殻類の密度が極端に高く、スギリター中のカルシウム濃度が3-4倍高いことと密接に結びついていることが明らかとなった。これらの結果の一部をFreshwater Biologyに公表した。 母岩と植生が河川底生無脊椎動物群集に与える影響を明らかにするため、屋久島の堆積岩および花崗岩の照葉樹林とスギ林流域で河川水と底生無脊椎動物を採取した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
各比較観測項目は順調に進行している。実績の概要で示した結果のうち、北大和歌山研究林での底生無脊椎動物群集に関する内容は国際誌に発表した(Ohta et al. 2014)。 また、北大和歌山研究林での土壌無脊椎動物群集に関する内容は現在国際誌に投稿中である、
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今後の研究の推進方策 |
流域によってカルシウム含量が大きく異なることが明らかとなったが、この由来を明らかにするため、水のストロンチウム同位体比を解析することで基岩由来か海由来かを推定するとともに、スギを用いたカルシウム取り込み実験も並行して行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
役務費および消耗品の支払いが3月であったため次年度使用額となった。 すでに使用している。
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