北海道大学和歌山研究林で複数の照葉樹林流域と皆伐地、人工的にスギを植林した複数の造林地流域の河川水、土壌中のカルシウムを中心とした栄養塩濃度と土壌および河川底生無脊椎動物群集の比較解析行うと共に、甲殻類を各流域河川と森林土壌表層において実験的に飼育し、その成長と生残を流域間で比較した。 各流域にリタートラップを複数設置し、1ヶ月に一度回収して自然林で優占する照葉樹林数種(アカガシ、タブノキ、イヌガシ等)とスギリターフォール量測定と物理化学特性の分析を行った。 各流域で複数回流速や水温、phなどを測定するとともに河川水を採取してカルシウムをはじめとする各種栄養塩の分析を行った。また複数の土壌コアを採取し、リター層と土壌層の各種栄養塩の分析を行った。照葉樹、スギ植林、皆伐の各流域で河川では2ヶ月に一度サーバネットサンプリング、土壌では夏期と冬期に区画掘り取りにより無脊椎動物群集をサンプリングし群集解析を行った。 その結果、スギ植林地流域では照葉樹林流域や皆伐流域に比べ甲殻類の密度が極端に高く、スギリター中のカルシウム濃度が3~4倍高いことと密接に結びついていることが明らかとなった。これらの結果の一部をPedobiologia誌に公表した。
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