研究課題
2013年に、3本のターゲットを設定し、感光フィルム(オプトリーフ)を用いて周囲個体の伐倒前の受光量と伐倒後の受光量を測定した。2014年に、伐倒した個体の葉の垂直分布を測定し、ターゲットの葉群分布を推定した。2015年はHikosaka et al. (2001) で提示したモデルの適用を行った。同じモデルで光データをフィットすることはできなかったが、樹幹の位置によって相互作用が変化するという項を入れることによって光環境をよく説明できることがわかった。その結果、個体間相互作用(0以上1以下)の値は0.4から0.77で、草本群落なみに高いこともあるが、概ね0.5前後であると考えられた。以上の結果を投稿論文にまとめている。また、2013年に切り残したターゲットと、コントロールとして周囲を切らなかった個体のその後の成長を追跡した。樹高と基部直径を測定したところ、コントロールに比べ、ターゲットの樹高成長は相対的に低下していることが明らかとなった。このことは、周囲個体の存在が個体の成長やアロメトリーに影響していることを示す。光環境のデータと成長のデータは、隣接個体の存在が受光量や成長量に強く影響していることを示している。森林植物群落では個体間の距離が比較的長いため、個体間相互作用は強くないのではないか、という予想もあったが、本研究により(草本群落ほどではないが)強い相互作用があることが明らかとなった。植物群集において個体間の相互作用がどれだけ強いかは、ゲーム理論を用いた植物群落モデルの高度化に貢献すると期待される。
すべて 2016 2015
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