視覚的に寄主の位置や大きさを識別することができない樹皮下穿孔性昆虫の寄生蜂においても,露出型寄主の寄生蜂と同様,寄主サイズに依存した次世代の雌雄の産み分けを行なうのかどうかを明らかにするため,実験装置を新たに製作し,キタコマユバチ(Atanycolus genalis)を用いて,寄主供試実験と産卵行動の観察を行なった。その結果,このハチは生得的な寄主サイズ評価基準を持ち,供試する寄主サイズ分布のばらつきが小さい場合は,生得的な基準により次世代性配分を決定したが,異なるサイズの寄主を連続して与える実験では,Charnovの寄主サイズモデルに従った,相対評価に基づく次世代性配分が認められた。
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