本研究では、森林流行病マツ材線虫病の病原体であるマツノザイセンチュウにおいて、組換え近交系を用いた遺伝学的アプローチにより病原性決定因子の特定を試みた。 表現型評価の結果、病原力及び増殖力は多数の遺伝子群により制御される量的形質である一方、伝播昆虫への便乗能力すなわち移動分散能力はひとつもしくは少数の遺伝子支配を受ける質的形質であることが示唆された。また、表現型情報とRADシークエンスデータに基づいて検出されたSNPマーカーを用いた遺伝型情報を併せたゲノムワイド関連解析により、病原性決定因子としてシグナルペプチダーゼ遺伝子やDaf-1遺伝子を含む複数の候補遺伝子が絞り込まれた。
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