セルロースを主要な成分とする植物繊維の繊維状細胞を機械的処理することによりミクロフィブリルセルロースが得られる。また酢酸菌が生産するバクテリアセルロースも注目されている。これらはナノレベルの幅を持つ極細繊維であることからセルロースナノファイバーと呼ばれている。本研究はセルロースナノファイバーと有機填料キチン粉末との混抄により、現在の印刷用紙(厚さ約80μm)より遥かに薄いシートを作製しようと検討し以下のことが明らかとなった。。 ナノファイバーとしてバクテリアセルロースを用いた。シート強度を改善するためシアノエチル化、カルバモイル化、N-Cl化を行った。何れの反応も容易に進行することが分かった。またカルバモイル化、N-Cl化はほぼ定量的に進行した。シート作製時に機能性基の性能を十分活かすにはミクロフィブリル単位まで解繊維し、できる限り均一に分散する必要があることが分かった。N-Cl化繊維はコロイド状まで解繊され、得られたシートは優れた乾燥及び湿潤引張強度を有していた。これにより厚さ数μmの極薄シートの作製が可能となった。 ボールミル粉砕キチン微粉末を対セルロース20%添加することによりセルロースシートの不透明度を約10%向上させることができた。従ってキチン粉末は有機填料として有効であることが分かった。
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