研究課題/領域番号 |
25660136
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高部 圭司 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (70183449)
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研究分担者 |
粟野 達也 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (40324660)
吉永 新 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (60273489)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | スギ / ヒノキ / 実生苗 / アミノ酸 / 成長促進 |
研究概要 |
スギ、ヒノキの実生苗に1mMのグルタミン酸(Glu)、システイン(Cys)、グリシン(Gly)を様々に組み合わせて施用し、伸長成長、幹の肥大成長、乾燥重量を測定した。また、細胞構造の変化を光学顕微鏡で観察した。コントロールとして蒸留水、あるいは硝酸アンモニウムを施用した。 スギにおいては、Glu+Cys+Gly、Cys+Glyを施用することで、コントロールにくらべ幹の肥大成長が促進され、地上部、地下部の乾燥重量は増加した。個々の仮道管では、上記のアミノ酸の施用により放射径、接線径とも増大し、細胞壁厚さも増大した。その結果、全バイオマス量はコントロールにくらべおよそ1.4倍増加した。 一方、ヒノキにおいてはGlu+Cys+Glyを施用することで伸長成長が促進され、基部直径、乾燥重量が増大した。全バイオマス量はコントロールの1.14倍となった。仮道管の放射径、接線径とも増大したが、細胞壁厚さは減少した。ヒノキにおいては、Glu+Cys+Glyの施用により、細胞径は大きいが細胞壁の薄い仮道管が形成された。Glu、Cys、Glyの内2種類を組み合わせて施用し、成長を比較した。Glu+Cys、Cys+Glyではコントロールにくらべ乾燥重量が1.14倍程度増加した。個々の仮道管においては、上記の施用により接線径が増大し、細胞壁厚さは同じか増加した。一方、Gly+Gluではコントロールにくらべ乾燥重量が減少した。以上の結果から、Cysを含むアミノ酸の施用が、スギやヒノキの実生苗の成長促進につながることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
1年間の研究により、樹木の成長促進の鍵となるアミノ酸を発見した。
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今後の研究の推進方策 |
スギ、ヒノキの実生苗において成長促進が認められたGlu+Cys+Gly、Glu+Cys、Cys+Glyの施用を、3~6年生の苗に実施し、成長促進効果を調べる。 スギ、ヒノキの実生苗にGlu、Cys、Glyを単独で与えて、樹木の成長を比較する。 ユーカリの実生苗に対し、スギ、ヒノキで実施した実験を適用し、成長効果を調べる。 アミノ酸施用により、なぜ成長促進効果が見られるのかを、代謝解析、遺伝子発現解析から調べる。
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