研究課題/領域番号 |
25660137
|
研究種目 |
挑戦的萌芽研究
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
本田 与一 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (70252517)
|
研究分担者 |
渡邊 隆司 京都大学, 生存圏研究所, 教授 (80201200)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 糖ペプチド / 担子菌 |
研究概要 |
ヒラタケの野生型および組換え株の培養を行って、同菌の分泌するマンガンペルオキシダーゼMnP2を高生産する培養条件の検討を行った。さらに培養濾液より限外濾過およびDEAEセファロースを用いて、MnP2の精製を行い、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分離を行った。予想されるサイズのバンドを切り出したのち、トリプシンを用いてin gel digestionを行って、MALDIーTOF/MSにて質量分析を行ったところ、N結合型糖鎖修飾が予想されるアスパラギン酸を含むペプチドフラグメントが予想より大きな分子量を持つことが予想された。つぎにN結合型糖鎖を切断する酵素により処理を行った後、もう一度質量分析を行ったところ、当該フラグメントの質量は、糖鎖が切断されたと想定した場合の予想値と一致した。このフラグメントのMS/MS解析を実施したところ、高マンノース型の糖鎖構造を持つことが予想され、ヒラタケのMnP2が高マンノース型の糖鎖で修飾を受けていることが示唆された。さらに、人工的に糖鎖付加部位を追加することで酵素活性が強化された変異型酵素MnP2(R263N)についても、同様の方法で解析を行うべく、精製を進めている。また、ヒト型の糖鎖修飾を持つ活性ペプチドを生産する目的で、コレラトキシンについてコドン使用を真核生物型に変更した遺伝子発現用プラスミドを作成し、ヒラタケへの導入を行っている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画は、ほぼ順調にこなしており、今後の研究によって研究期間全体の計画を遂行することが十分期待されるため。
|
今後の研究の推進方策 |
野生型のMnP2に関しては、糖鎖の詳細な構造を決定していく。また変異型のR263Nについても、精製を進めて、質量解析を行い、人為的に導入された糖鎖修飾部位に新たな糖鎖が結合しているのか、その構造はどのようなものかについて解析を進めて行く予定である。また、ヒト型の糖鎖構造を持つ生理活性ペプチドの生産については、ヒラタケにおける前駆体ペプチドの生産をすすめ、高発現と精製を行ったあとは、上述のMnP2の手法に乗っ取って糖鎖構造の確認を行う。高マンノース型の糖鎖の修飾が確認されれば、変異型Endo-Mによる糖鎖の置換を行うことにより、ヒト型の糖鎖修飾を持ったペプチドの生産を試み、生成した産物において糖鎖の置換が予定通り行われているかについて、質量分析による確認を行う。
|
次年度の研究費の使用計画 |
研究は順調に進んでいるが、当初予想していたよりカラムなどの消耗量が少なかったため、使用残金が出た。 次年度はインドで国際学会が開催されるため、研究の進展について追加の発表を行う予定であり、繰り越し分を充当することによって支辨する予定である。
|