閉鎖型の循環浄化システムを用いて、シジミを飼育した。飼育水は、市販の人工海水塩およびイオン交換水を用いて約5psu(1psu=0.1%)に調整したものを用いた。資料より、秋期にヤマトシジミの軟体部が大きく増加した10-11月の水温が20℃であったことから、実験水温を20℃とし、20℃に設定した部屋に水槽を設置した。約1ヵ月慣れさせた後、飼育実験に用いた。その後、木粉、稲ワラ+木粉、二枚貝用飼料を与えた。セルロースが分解されるのにどれほどの時間を有するか分からないので、15ヵ月間与えた。シジミが木粉を食したかどうかの判別は、次のようにして行なった。糞(真糞)と擬糞の判断は比較的容易で、細かい粒子が棒状に集まって、ある程度の密度をほぼ均等に保っているもの、これらは消化管を通って肛門よりでてきた「糞(真糞)」である。一方、不定形で密度ムラが著しいものは擬糞である。その他の細かい粒は、糞なのかどうか?よく分からない。ばらばらで固められていないのであれば擬糞とした方が良いと考えられる。ただし、真糞も時間をおくとばらばらになるので、排出直後の観察が必要である。糞と思われるものを随時写真に撮り、以上の判断を行なうことにより、木粉を食していると判断できる。しかし、徐々に死んでいくことも分かった。 この理由として、木材には窒素がほとんどないことがあげられる。生物が生きていくためには、糖質だけでなく、タンパク質が必要である。タンパク質のもとになるアミノ酸を合成するためには、窒素がなければならない。この意味で、窒素のない木材は、食料として考えた場合、最大の欠点と考えられる。
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