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2013 年度 実施状況報告書

木くずを固めて巣を作るスズメバチに学ぶ天然系構造用接着剤の開発

研究課題

研究課題/領域番号 25660143
研究種目

挑戦的萌芽研究

研究機関独立行政法人森林総合研究所

研究代表者

塔村 真一郎  独立行政法人森林総合研究所, 複合材料研究領域, 領域長 (70353779)

研究分担者 亀田 恒徳  独立行政法人農業生物資源研究所, 新機能素材研究開発ユニット, ユニット長 (70334042)
宮本 康太  独立行政法人森林総合研究所, 複合材料研究領域, 主任研究員 (70353878)
松原 恵理  独立行政法人森林総合研究所, 複合材料研究領域, 研究員 (20467898)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワードスズメバチ / タンパク質 / 接着剤 / 唾液
研究概要

スズメバチは、木粉を唾液で固めて巣を作る。巣の柱は巨大な巣を支える強度を有し、また外層部は過酷な屋外条件から巣を守る耐久性を有している。本研究ではこの巣に使われる材料を住宅の構造部材や外装材としての観点からその性能を評価し、さらにスズメバチ唾液成分のタンパク質を単離・同定、合成することによって木材用接着剤としての特性評価を行い、天然系の構造用木材接着剤として開発することを目的とする。
入手できたキイロスズメバチの巣を解体して内部構造を調べたところ、巣は多層構造となっており、それぞれの層をつなぐ支柱の長さはどの巣も約20~25mmとほぼ一定であり、下部のサイズや重さに応じた径と本数となって構造を支えていることが示唆された。
一方、キイロスズメバチおよびコガタスズメバチの巣の外皮を集め、細かく砕いて粉末状にして効率の良いタンパク質の抽出方法を検討した。その結果、この粉末をある特定の溶液に入れて攪拌した後、純水中にて透析を行うことでタンパク質の粉末が得られた。このタンパク質について電気泳動で調べるなどして、タンパク質の同定を行っている。
さらに、オオスズメバチの唾液腺から抽出したRNAを逆転写してDNAを得た。このDNAは唾液腺部分で発現されている遺伝子に由来するものと考えられるが、ゲノムの中には必ず存在しているものであるから、逆転写処理をして得られたDNAが真に逆転写して得られたDNAであって、ゲノムが混在したものではないことを確かめることは難しい。そこで、逆転写処理を行ったものと行わなかったものの両方を比較することでゲノムDNAであるか否かの判別を行った。さらに比較のために、成虫をすり潰してゲノムDNAを取出して解析に使用した。これらの解析を通じて、唾液腺中で転写されたDNAの特定を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

巣の構造解析については計測を終了し、解析を行っており計画通り進んでいる。また唾液中のタンパク質成分特定については、巣からの効率よい抽出法が見つかったので、現在タンパク質やDNAの特定を進めているところである。このタンパク質の特定と採取が順調に進めば、接着機構の解明に進み当初の目的は達成できると考えられる。

今後の研究の推進方策

一番耐久性が高いと考えられる支柱からのタンパク質抽出は、量が少ないため課題となっている。スズメバチ研究者への聞き取り調査から、台湾や東南アジア地域に生息するスズメバチの巣は、日本のものより激しい風雨に耐えるように支柱が太く、唾液成分を大量に使って、巣の外皮を急傾斜の構造をしていることがわかった。そこで、次年度は巣からの効率的なタンパク質成分の抽出のため、台湾のスズメバチの巣を入手する方向を考えている。

次年度の研究費の使用計画

賃金として予定していたが、先方の都合により実施できなかった。
新たに支柱のより大きな巣の入手のため台湾へ出張する必要が生じたため、その旅費に充てる計画である。

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公開日: 2015-05-28  

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