研究課題/領域番号 |
25660150
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
綿貫 豊 北海道大学, 水産科学研究科(研究院), 准教授 (40192819)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 海洋ホットスポット / 海鳥 / クロロフィル極大 |
研究概要 |
沿岸・陸棚域にできる小規模で継続時間の短い生物学的ホットスポットを簡便に探しその成立過程を研究することを目的とした。秋に津軽海峡からその太平洋沿岸部においてうしお丸をつかった海洋環境・海鳥分布調査、追加としておしょろ丸をつかった海鳥分布調査を実施した。調査海域は高気圧性渦と沿岸親潮により、複雑で変化しやすい物理環境にある。尻屋海脚先端付近ではその東西に、付け根付近では西側だけに、深度20-30m付近に密度躍層と一致してクロロフィル極大が存在した。海脚の東西の深度30~40m付近に強い音響反応があったが、日中浮上することはなかった。オオミズナギドリは、うしお丸による調査では、尻屋海脚の東外側、海峡中央部で多く見られたが、尻屋海脚上での採食群は観察されなかった。その後のおしょろ丸による調査では海脚末端部に多数が出現した。岩手県船越大島にてオオミズナギドリにGPSデータロガーを装着しその索餌行動を調べた。これらの個体は襟裳沖に採食に出かけ、調査海域を利用しなかった。津軽海峡では秋期間に、沿岸親潮と海脚があるていど安定性のあるホットスポットの成立に役立っていそうなことがわかったが、魚群が海面に浮上したときだけ海鳥がこれを利用するようであり、高次捕食者の採食場所をホットスポットの指標とする際の注意点が明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り、海洋調査とGPSトラッキングを実施できた。尻屋海脚での採食群をとらえることはできなかったが、周辺の海洋構造や生態系に関する情報を得ることができた。おしょろ丸では海洋調査は実施できなかったが尻屋海脚でのオオミズナギドリ採食群をとらえることができたので、この場所が時として採食場所として重要になることがわかり、その要因を解明するめどがついた。
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今後の研究の推進方策 |
秋の津軽海峡は海況が複雑で、地形による影響も大きく受けていること、尻屋海脚の東西の躍層付近に高い一次生産があり、その下部に濃い魚群がいることがわかった。その一方で、海鳥の分布は日変化が大きく、小規模な上昇流などの日変化によるのかもしれない。昨年度得られたドップラー流速計と科学魚探データの詳細な解析を進める。トラッキングについては、今年度は他の研究組織と協力して実施することとし、うしお丸による海洋調査を充実させ(一般海洋観測・魚群探知機による調査にくわえ、採水とフレームトロールによる魚の採取)、また日変動が大きいことに対応するため、陸からの観察も平行して実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
3月に購入した消耗品の4月支払い分である 3月に購入した消耗品につき4月に支払う
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