沿岸・陸棚域にできる小規模で継続時間の短い生物学的ホットスポットを簡便に探しその成立過程を研究することを目的とした。25年度に引き続き、秋に津軽海峡からその太平洋沿岸部においてうしお丸をつかった海洋環境・海鳥分布調査を実施した。日変動に対応するため、陸からの観察も予定していたが都合により実施できなかった。尻屋海脚先端付近ではクロロフィル極大が見られなかったが付け根付近では深度20-40m付近に密度躍層と一致してクロロフィル極大が存在した。尻屋海脚先端では音響反応がなく、付け根では開脚直上に音響反応があり、オオミズナギドリ小集団が散発的に、ブリに追われたイワシ類を採食しているのが観察された。また大間崎沖で、ボール状の小魚群の強い音響反応とともにオオミズナギドリの採食群が観察され、マグロも目視された。こうした比較的強い音響反応が見られた場所でフレームトロールを実施したが餌生物は採取されなかった。餌生物の逃避能力が予想以上に高かったと考えられる。このように、地形は一次生産を通じてというよりも捕食成魚類の採食行動を通じて、餌生物をオオミズナギドリに利用しやすくしている可能性が考えられた。本研究と関連して、三陸沖で得られた既存のデータ(オオミズナギドリを材料とした船からの目視とGPSトラッキングの結果)を再解析した。多数個体の追跡結果からコロニーや性を独立変数に入れた生息地モデルを作成し目視データによる生息地モデルと比較したところ、両者を統合するアプローチが有効そうであることがわかった。
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