サケの遡上行動と東日本大震災での大津波による環境攪乱の影響を明らかにするために、岩手県大槌湾に来遊したサケの追跡を行った。湾内15カ所に音波受信器を設置後、湾央の定置網で捕獲されたサケの背部に音波発信器を装着し放流した。計67尾を放流した結果26尾が大槌湾にそそぐ三つの河川のいずれかに遡上した。11月は16尾放流中5尾(24%)のみが遡上したのに対して、12月は45尾中21尾(47%)が川に遡上した。また、川に遡上した26尾のうちのうち12尾が、複数回河川を探索後に川に遡上した。震災年に降海した4年魚は14尾放流したが川に遡上したのは3尾のみであった。また河川を探索後に湾外へ移動した個体が2尾いたがいずれも4年魚であった。 今後、DNA解析と性ホルモンの濃度を調べて、出身河川や性成熟と行動の関係を調べる予定である。
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