環境制御によるウナギの成熟促進技術の開発を目的として、環境因子のうち、水中音響環境がウナギの性成熟に及ぼす影響について研究を行った。まず、ウナギ飼育水槽内の音響環境は自然の生息域と比較して騒音が多いことが判明した。次に、天然の生息環境と同じような静音な環境を維持できる飼育水槽を作成した。さらに、これを用いて実験を行ったところ、成熟に係わる血中エストラジオールやテストステロン量が騒音環境で飼育した雌ウナギに比較して静穏環境やモーツアルトの音楽を継続して流した水槽で飼育した雌ウナギの方が、有意に高い値を示した。この結果、静音な飼育環境や音響環境が雌ウナギの成熟に影響を及ぼす可能性が初めて示された。
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