研究課題/領域番号 |
25660159
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
浦 和寛 北海道大学, 水産科学研究科(研究院), 助教 (90360940)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ウニ / 生殖巣 / 核内受容体 / ステロイド合成 / ステロイド代謝 / MYP |
研究実績の概要 |
ウニ生殖巣の肥大に伴い、どのような遺伝子群、特にステロイドホルモン合成・代謝機構およびそれらをリガンドとする核内受容体について、礒焼けウニにコンブを給餌し人為的に肥大させた後に、次世代シークエンス解析を行った結果、いくつかの核内受容体および薬物代謝酵素であるP450遺伝子群、コレステロール輸送タンパク質遺伝子群が増大することが明らかになった。本年度はウニ生殖巣の肥大に伴い発現量が増大する遺伝子群のうち核内受容体cDNAのクローニングを行った。また、ウニ生殖巣の肥大に伴い主要卵黄タンパク質(MYP)がウニ生殖巣で発現しタンパク質として蓄積されることが知られていたが、ウニ生殖巣で合成されるMYPの一次構造は明らかにされていなかった。そのため、ウニ生殖巣で合成されるMYPの一次構造を明らかにするため上記の給餌実験で肥大させたウニ生殖巣からMYPcDNAの全長クローニングを実施した。 1.生殖巣栄養細胞で発現しているMYPcDNAの全長クローニングを行い、完全長cDNAのクローニングを終了した。 2.核内受容体である、COUP-TFおよびRARβcDNAの全長クローニングを行い、各定量系(qPCR法)を確立し、各組織での発現量を定量し、両核内受容体は各器官で発現していることを確認した。また、MYPの発現量と相関して発現するかを確認したところ、COUP-TFはMYPの発現と相関が認められたが、RARβは相関が認められなかった。 3.ステロイド合成・代謝の律速タンパク質であるStAR-likecDNAのクローニングを行ったが、完全長はクローニングできなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
昨年度、ウニ生殖巣の肥大に伴い発現量が増加する遺伝子群を次世代シークエンス解析を行い、網羅的に発現量を定量した。この発現解析によりウニ生殖巣の肥大に関わる遺伝子群を選択し、2つの核内受容体、ステロイドホルモン合成に関わるタンパク質のcDNAクローニングを行い、今年度で完全長cDNAのクローニングを終えることができた。また、ウニ生殖巣の肥大に関わる重要なタンパク質であるMYPのアミノ酸配列はこれまで不明であったが、我々の研究により初めて明らかになったたため。
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今後の研究の推進方策 |
本年度クローニングしたCOUP-TFおよびRARβの2つの核内受容体がウニ生殖巣の肥大にどのように関与しているのかを明らかにするために、キタムラサキウニMYPのプロモーター領域DNAのクローニングを行い核内受容体が結合するか確認をする。また、上記2つの核内受容体がどのような遺伝子群を発現誘導しているか明らかにするために、クロマチン免疫沈降法を用いて網羅的に発現誘導する遺伝子群を解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会発表のため旅費としての予算および消耗品購入として準備していたが日程の都合により学会発表を次年度に延期したため。また、既存の試薬を用いて今年度の実験を実施できたため消耗品の購入の必要がなくなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
旅費と消耗品購入として使用予定。
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