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2015 年度 実績報告書

浸透圧調節の特殊性から探る紅藻ウシケノリの低塩類濃度耐性機構の研究

研究課題

研究課題/領域番号 25660160
研究機関北海道大学

研究代表者

三上 浩司  北海道大学, 水産科学研究科(研究院), 准教授 (40222319)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード環境ストレス耐性 / 低塩類濃度ストレス / 細胞収縮 / 葉緑体 / 遺伝子発現 / トランスクリプトーム解析 / ウシケノリ
研究実績の概要

前年度から引き続きナトリウムポンプの機能解析を行ったところ、スサビノリのナトリウムポンプの発現がシロイヌナズナの塩ストレス耐性を低下させていることが判明した。これは、ナトリウムの排出強化により塩ストレス耐性が向上するという当初の予想に反することであった。最近の研究により、陸上植物の根でナトリウムを細胞内に隔離することで地上部の生育を可能にしているトランスポーターの存在が明らかとなった。そのため、スサビノリのナトリウムポンプが、そのトランスポーターが細胞内に取り込んだナトリウムイオンを道管に排出してしまい、そのため地上部で塩の蓄積が起こるため枯死してしまうことが考えられた。よって、シロイヌナズナでスサビノリ遺伝子が機能的に発現することは判明したが、陸上植物の性質により塩ストレス耐性獲得おける機能を証明できないことが明らかとなった。ただ、この結果は、陸上植物の塩ストレス耐性機構の最新の知見を直接的にサポートする重要な知見と考えている。
初年度行ったトランスクリプトーム解析のデータ分析からは、淡水処理によってアクチンやプロフィリンなど、F-アクチンの再構成に必要な遺伝子の発現が低下していた。このことは、ウシケノリが淡水中で細胞分裂を抑制し、無駄なエネルギーを使わないようにしていることを示している。また、ミトコンドリアにおけるATP生産関連遺伝子の発現が上昇しており、淡水中で生存するためのエネルギー生産を活発化していることを示している。これらのことから、ウシケノリが淡水中で生存するためにエネルギーを蓄えていることが判明した。しかしながら、遺伝子発現の解析で、なぜ低張環境で細胞収縮するのかを予測することはできなかった。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 謝辞記載あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Comprehensive quantification and genome survey reveal the presence of novel phytohormone action modes in red seaweeds.2016

    • 著者名/発表者名
      Mikami, K., Mori, I.C., Matsuura, T., Ikeda, Y., Kojima, M., Sakakibara, H. and Hirayama, T.
    • 雑誌名

      Journal of Applied Phycology

      巻: 28 ページ: 印刷中

    • DOI

      10.1007/s10811-015-0759-2

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Isolation and characterization of a new DUR3-like gene, PyDUR3.3, from the marine macroalga Pyropia yezoensis (Rhodophyta)2016

    • 著者名/発表者名
      Kakinuma, M., Suzuki, K., Iwata, S., Coury, D.A., Iwade, S. and Mikami, K.
    • 雑誌名

      Fisheries Science

      巻: 82 ページ: 171-184

    • DOI

      10.1007/s12562-015-0947-7

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Characterization of an eukaryotic PL-7 alginate lyase in the marine red alga Pyropia yezoensis.2015

    • 著者名/発表者名
      Inoue, A., Mashino, C., Uji, T., Saga, N., Mikami, K. and Ojima, T.
    • 雑誌名

      Current Biotechnology

      巻: 4 ページ: 240-248

    • DOI

      10.2174/2211550104666150915210434

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Chemoprotective effects of a recombinant protein from Pyropia yezoensis and synthetic peptide against acetaminophen-induced Chang liver cell death.2015

    • 著者名/発表者名
      Choi, Y.H., Kim, E.-Y., Mikami, K. and Nam, T.J.
    • 雑誌名

      International Journal of Molecular Medicine

      巻: 36 ページ: 369-376

    • DOI

      10.3892/ijmm.2015.2253

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] 褐藻シオミドロの雄性配偶体に偏ったサイトカイニンの蓄積2015

    • 著者名/発表者名
      三上浩司、池田陽子、松浦恭和、森泉、平山隆志
    • 学会等名
      平成27年度日本水産学会秋季大会
    • 発表場所
      東北大学 (宮城県、仙台市)
    • 年月日
      2015-09-22 – 2015-09-25
  • [学会発表] 海藻は未知の植物ホルモン情報伝達機構を持つ2015

    • 著者名/発表者名
      三上浩司、森泉、松浦恭和、池田陽子、平山隆志
    • 学会等名
      日本応用藻類学会第14回大会
    • 発表場所
      東京海洋大学 (東京都、品川区)
    • 年月日
      2015-05-16

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公開日: 2017-01-06  

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