「細胞膜を構成するリン脂質はキラルな化合物であり,ホスファチジルコリン(PtdCho)もエタノールアミン(PtdEtn)も,R 配置である」と信じられているが,この常識は疑わしく思われる.すなわち,ある種の生物や特殊な生育環境下では S 配置のリン脂質も存在する可能性がある.このことを明らかにするためには,R と S を完全に識別する高精度分析法の開発が不可欠である.本研究では,これまで困難とされ,長年の研究課題となっている「クロマトグラフィーによるリン脂質光学異性体の分離分析法の開発」に取り組み,分子種と立体配置を同時に決定できる精密分析法(キラルHPLC/MS/MS)の開発に成功した.
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