研究概要 |
本研究ではサンゴのゲノム情報を駆使し、サンゴ礁の危機・白化現象を引き起こす主な原因「高温ストレス」への、サンゴの耐性・適応に関わる遺伝子を特定することを目的とする。サンゴのストレス耐性は個体により著しく異なるという点に注目し、高温ストレスに耐性がある個体と敏感な個体を複数選別し、そのゲノムを比較することで、高温耐性や適応に関わる遺伝子の特定を行う。本年度は、高温ストレスに耐性があるサンゴ個体の特定に取り組んだ。全ゲノムが解読されているコユビミドリイシ(Acropora digitifera)を対象種とした。生息環境などの違いを出来るだけ少なくするために、コユビミドリイシが豊富に生息し、琉球大学・熱帯生物圏研究センター瀬底研究施設がある沖縄県・瀬底島周辺からサンプルを採取した。研究協力者の井口亮(沖縄高専)により、20群体を用いた飼育実験が行われた。約一ヶ月にわたる高温ストレス処理(32℃、通常より5℃高温)を行い、成長率や光合成活性を比較したところ、成長に著しい差が見られる個体が確認された。サンゴには光合成を行う微細藻類、褐虫藻が共生しており、褐虫藻のタイプがサンゴのストレス耐性に重要だと考えられてる。サンゴと褐虫藻の塩基配列が混ざりあった膨大なデータから、共生している褐虫藻のタイプを見分けるコンピュータの解析法の開発も行い、その成果の一部を論文として発表した(Shinzato et al., 2014)。さらに遺伝子マーカーを用いて簡単にサンゴの個体を識別する手法も開発し、論文を投稿した(Shinzato et al., accepted)。
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