最終年度である平成27年度は、以下の2点に取り組んだ。 1)すぐれた能力を備えたコーディネーターに対するインタビュー調査 これまでの調査結果およびコーディネーターをサポートする機関からの推薦により、高い能力を備えていると判断された3名の独立型コーディネーターに対し、インタビュー調査を行い、優れたコーディネーターの持つ属性を定性的に明らかにした。インタビュー方式は事前に主要設問を用意する半構造型としたが、後半ではインタビューの途中で話題になった課題について深く掘り下げる自由形式のインタビューとした。いずれの回答者も、①企業等でのOJTによる技能修得を経て40歳前後で独立している、②独立後は政府・自治体の事業を積極的に活用しているが、資格にはあまりこだわっていない、③農業との接点は当初は無かったが、自ら農業者と積極的にコミュニケーションすることで農業に関する知識やノウハウを修得しているという共通点がある。 2)これから求められるコーディネーター像および支援制度への提言 3年間の分析結果をふまえ、食農連携に関わるコーディネーターの能力向上と関連制度の改善を目指し、以下の5点を提言としてまとめた。①商工部門出身のコーディネーターに対し、農業・農村に関する知識をブラッシュアップする。②コーディネーターが担当する支援課題のプロジェクト進行管理を徹底する。③コーディネーターの能力を定期的に検証できる仕組みを構築する。④コーディネーターが担当する課題が関わる地域コミュニティに関する情報提供を行う。⑤コーディネーター派遣ないし支援制度自体の持続性を高める。 なお、以前に実施した質問紙調査については、なお統計手法を活用することにより、コーディネーターが重視する能力特性をより具体的に解明する余地が残されているので、今後も分析を続ける。
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