研究課題/領域番号 |
25660180
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
大浦 裕二 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中央農業総合研究センター農業経営研究領域, 主任研究員 (80355479)
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研究分担者 |
廣政 幸生 明治大学, 農学部, 教授 (00173295)
氏家 清和 筑波大学, 生命環境科学研究科(系), 助教 (30401714)
吉田 晋一 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター水田作研究領域, 研究員 (50469839)
櫻井 清一 千葉大学, 園芸学研究科, 教授 (60334174)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 解釈レベル理論 / 農産物 / 選択実験 |
研究概要 |
国内外における解釈レベル理論研究、行動経済学など消費者の限定合理性に関する研究、農業経済学分野におけるこれまでの消費者行動研究のレビューを行い、解釈レベル理論研究が先行的に行われている消費者行動研究学会に参加し、農産物消費への適用の可能性や適用場面を検討した。その結果、複数ある心理的距離(時間的距離、社会的距離、空間的距離)がどのような関係にあるかについて十分に整理されていないこと、また、農産物消費のどのような場面にどの心理的距離を適応すべきか、さらに評価基準をどのようにすべきかの整理が重要であることが把握できた。 また、解釈レベル理論の計測方法の妥当性について検討するために、Freitas et al.(2004)により提案された解釈レベルの操作、ならびに仮想バイアスを逓減させる手法としてDe Magistris et al.(2012)によって提案されたhonesty priming による操作が、選択型コンジョイント分析の結果にどのような影響をもたらすか比較検討した。その結果、現実の選択行動と比較が必要であるが、比較的単純な事前作業によっても、選択実験の結果が変化しうることが示唆された。なお、この研究結果は、2014年度日本フードシステム学会大会(東京大学)で個別報告する予定である。 新たな試みである食行動記録調査データを使った解釈レベル理論の検証については、関東及び関西の子供を持つ女性48人を対象に食行動記録調査を実施し、データの整理を行っているが、検証するための分析までには至っていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
食行動記録調査データ使った解釈レベル理論の検証方法やデータのコーディング作業が遅れている。これまでの研究成果を踏まえた実験的な方法による検証や研究レビューについては、ほぼ予定通りに進んでいる。これらの進捗状況を総合的に判断すると、おおむね研究目的に即した成果を得ることができている。
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今後の研究の推進方策 |
第1に、購買行動実験・質問紙調査による解釈レベル理論適用妥当性の検討を行う。具体的には、購買時点とその前後で、消費者が選択する商品や購買時に注目する項目、商品の評価等に違いが見られるか(時間的距離の影響があるか)を、環境・条件を制御した模擬店舗での農産物購買実験(実際に購入してもらう等)を通して把握する。 また、昨年度に引き続き表明選好法等を用いて、心理的距離を考慮した調査設計にすることで結果がどのように変わるか(表示する商品属性が高次(本質的)の場合と低次(副次的)の場合など)を確認する。 第2に、食行動記録調査結果の整理と解釈レベル理論適用場面の抽出を行う。具体的には、前年度に収集した記録調査結果を用いて内容分析を行い、農産物の購買からメニュー決定及び調理での使用あるいは廃棄までのプロセスにおいて、対象農産物に関する心理的距離(時間的・社会的その他)が変化する(対象への評価の視点が変化する)場面や品目を抽出する。 第3に、日本消費者行動研究学会における解釈レベル理論の研究者を招き、2年間の分析結果や農産物に対する解釈レベル理論適用についてのディスカッションを行う。また、2年間の研究成果を取り纏め、日本農業経済学会等で報告する。また、日本及び欧米で開催される関連学会等に出席し、研究成果について意見交換を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
食行動記録調査データのコーディング作業が計画通り進められなかったこと、研究打ち合わせの回数が予定より少なかったこと、の2点が残額となった理由である。 次年度使用額は、食行動記録調査データのコーディング作業を8月までに終了するように作業を外部依頼するとともに、コーディング化されたデータも分担して分析する予定である。 また、研究打ち合わせについては昨年度より多くの打ち合わせを行い、情報の共有化及び研究の進化を図るために使用し、次年度に請求する研究費と合わせて、研究計画遂行のために使用する。
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