研究課題/領域番号 |
25660181
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
及川 洋征 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (70323756)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | もみ殻くん炭 / 土壌改良 / 有機農園 / 農民参加 / ベトナム / カンボジア / 炭入りボカシ / 篤農技術 |
研究概要 |
熱帯アジアの以下の3地域における篤農から土づくりの取り組み、経験・技術的特徴を学び、ベトナムおよびカンボジアの痩せ地土壌への普及の可能性を検討した。 1.タイ・チェンマイ県メーリム郡、レインボーファーム:水田の土づくり。籾殻・くん炭・アヒル糞堆肥を用いた有機稲作。品種選択、天然農薬による防除が行われている。 2.インドネシア・西カリマンタン州トホ・イリール郡、木炭総合技術開発センター(PPTAT):常畑の土づくり。木炭と養鶏・家畜飼育を組み合わせた畑作。1994年の設置から20年近く粉砕した木炭を堆肥とともに施用している。2013年8月の畑地表層の土壌酸度はpH6.5~7.0、10cmより下層は5.0~5.5であった。乾季の水源確保、担当職員の人材育成といった技術継承の課題を確認した。 3.ベトナム・フエ市、ドゥクソン寺院附属菜園:ホームガーデンの土づくり。2010年から籾殻くん炭入り有機肥料を用いた野菜生産が続けられている。2014年3月の野菜圃場の土壌酸度は、表層でpH6.5~7.0、深さ10cm~15cmでpH5.5~6.0であった。茶樹と混栽した区画の酸度はやや低かったが、圃場外(pH4.0~4.5)に比べると高かった。 それぞれの事例において家畜糞、身近にあるバイオマスと炭を組み合わせた有機物投入が継続的に行われていることが確認できた。これらを踏まえて、痩せ地圃場における土づくり技術の実証試験を行うため、カンボジアのシェムリアップ州およびプレアビヒア州の開墾地を視察し、圃場試験の候補地を選定した。特にプレアビヒア州では現地ゴム農園会社の協力が得られ、砂質土壌の貧栄養状態を確認できた。また、カンボジア王立農業大学では、研究協力者によるバイオ炭を用いた土づくり技術の導入試験を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
一通り計画していた篤農の圃場を直接訪ね、それぞれの土づくりの技術的特徴を捉えることができた。しかし、現地調査の期間および訪問回数が充分でなく、技術体系の詳細をまとめるまで至らなかった。農家とのコミュニケーションを円滑に行うため、現地協力者(兼通訳・翻訳)ともスケジュール調整を早めに行う必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
カンボジアのプレアビヒア州では視察の結果、水田造成が困難な地域であったことから、地元農家の協力を得て畑地圃場(砂質シルト)の土づくり実践に取り組むこととしたい。 また、ベトナム、フエ省では、フエ農林大学の協力者と検討した結果、当初計画したラグーン砂地における畑作圃場試験は先送りし、研究協力者により既に進行中のフエ市近郊の菜園および水田圃場での実践研究を優先させることにしたい。砂質土壌改良の実践研究は、上のカンボジアの圃場において重点的に行う。 初年度に交流した農家からは、さらに技術的知見を学び、水田、常畑、菜園それぞれの土づくり技術を整理して、カンボジアとベトナムの農家との技術交流と実践研究に取り組むこととする。
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