研究課題
生分解性樹脂コンクリートの曲げ試験並びに圧縮試験後の破断面の詳細な観察を行ったところ,樹脂部からの骨材の剥離が確認され,骨材と樹脂の付着力の低下が強度低下に繋がることが示唆された.しかしながら,表面劣化や質量変化傾向と微生物量には相関性が見られたため,生分解性樹脂コンクリートの劣化には様々な外的要因が関係していることが推定された.よって,今年度は,このような様々な外的劣化要因を包括できる劣化モデル式を作成するために,ワイブル分布を用いた統計的劣化推定モデルを作成し,長期的な劣化予測を試み,予測推定式を確立した.さらに,最終目標である生分解性樹脂コンクリートの実用化にむけて,本年度は生分解性樹脂コンクリートパイプを作製した.生分解性樹脂コンクリートパイプの実現により,非開削推進工法への貢献が期待できる.そこで,試作したパイプを対象に,管軸方向圧縮試験,円周方向圧縮試験を実施した.その結果,生分解性樹脂コンクリートパイプは,十分な初期強度を発現し,暴露後には,再開発に支障をきたさないほどの強度低下が見込めることが明らかとなった.生分解性樹脂コンクリートに関する本研究への挑戦において,ある程度の力学挙動の解明が進んだが,温度や光,紫外線など他の劣化要因から受ける影響に関しては未解明なままである.今後,さらに微生物や水による分解について考察を深めることにより,強度発現をコントロールできるようになれば,大きな社会貢献が期待できる新しい土木材料であることが,明らかになった.
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農業農村工学会論文集
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Proceedings of Concrete Innovation Conference, Oslo, Norway
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