研究課題/領域番号 |
25660199
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
渋谷 俊夫 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 准教授 (50316014)
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研究分担者 |
遠藤 良輔 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 助教 (10409146)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 光環境応答 / 光獲得競争 / 避陰反応 / 苗生産 |
研究概要 |
照射光のR/FR比が個体間の光獲得競争を介して成長の均一性に及ぼす影響を調べるために,異なるR/FR比の光照射下で植物個体群を育成し,各個体における光獲得過程およびその後の成長を調べた.キュウリ実生を,子葉展開直後に育苗トレイに移植し,移植時に本葉の出葉方向および葉の重ね順をランダムにすることで初期受光量を不均一にした個体群を作製した.この植物個体群をメタルハライドランプ(R/FR=1.2)または3波長形白色蛍光灯照射(R/FR=11)下で育成した.初期平均受光量をランダムにした個体群における育成開始7日後の全乾物重の変動係数は,メタルハライドランプ下で蛍光灯下よりも小さくなり,蛍光灯下において成長がより不均一になった.メタルハライドランプ下では,初期平均受光量と育成終了時の全乾物重との間に相関がみられず,初期平均受光量は最終的な成長に影響しなかった.初期平均受光量が小さかった個体の受光量は,育成開始3日目において初期平均受光量が大きかった個体と差がなくなり,5日目では初期平均受光量が大きかった個体を上回った.メタルハライドランプ下では,初期平均受光量の小さかった個体は,育成初期にR/FR比が低下した光を受け,茎の伸長が促進されて受光量を大きくできたと考えられ,そのような光獲得競争の繰り返しによって成長の均一性が高くなったと推察された.一方,蛍光灯下では初期平均受光量と育成終了時の全乾物重との間に正の相関が見られ,初期平均受光量が最終的な成長に影響した.蛍光灯下では,初期平均受光量が小さかった個体の受光量は育成日数の経過と共に減少し,育成開始6日目にはキャノピーの受光量の約3%となった.蛍光灯下では,葉を透過した後の光のR/FR比は茎の伸長を促進しない範囲であるため,受光量の小さい個体は他の個体に覆われた状態が続いたと考えられ,光獲得競争が正常に行われなかった結果として成長の均一性が低くなったと考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初計画通りの研究成果が得られている.次年度予定の気流影響を評価するためのシステムがほぼ完成していることから,当初の計画以上に進展していると評価する.
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今後の研究の推進方策 |
当初計画通り研究が進んでおり,次年度以上も計画通り推進できる見込みである.
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次年度の研究費の使用計画 |
当初予定の人件費が必要なくなったこと,予定していた国際学会での発表,論文投稿が年度内に間に合わなかったことが主な原因である. 平成25年度に生じた繰越金については,次年度以降における関連国際学会での発表(研究分担者・協力者含む),英文での論文投稿によって全て使用される見込みである.
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