水田土壌中では温室効果ガスであるメタンが盛んに生成され、多くはイネの通気組織を介して大気へ放出される。しかその輸送メカニズムは殆ど分かっていない。本研究課題では実際のフィールド(農家水田)から放出されるタンの量とその炭素安定同位体比を生育期間全般に渡って調べた。その結果、生育中盤以降、放出されたメタンの量は2-3倍に及ぶ日較差を示すこと、さらに放出量の多い日中には、13Cの割合が相対的に多い「重い」メタンが放出され、夕方~早朝にかけての放出量が少ない時間帯では比較的「軽い」メタンが出てくることが分かった。この結果は昼夜でメタンの移動メカニズムが異なることを示唆していた。
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