研究実績の概要 |
平成26年度に溶存酸素濃度(DO)、pH、温度を同一にして20時間浸漬した結果、コントロールのバブルを含まない蒸留水に対してナノバブル含有水(ナノバブル水)において発芽率が顕著に向上することが示された。 その理由としてナノバブルの特性の1つであるゼータ電位が考えられた。ゼータ電位はpHにより変化するのでpHを変えた水で比較した結果、pH4からpH9の範囲で、ナノバブル含有水に浸漬した場合の発芽率がコントロールより高い結果が得られた。これによりゼータ電位の大きさに依存して発芽率が変化する可能性が見出されたが、その影響の一定の傾向が見極められなかった。 そこで、ナノバブルによる活性酸素発生が発芽率の促進に貢献していると想定して、コントロール水、ナノバブル水及び0.1mMから0.5mMの濃度の過酸化水素水での発芽率実験を行った。その結果、浸漬17時間での発芽率がコントロール水において28%, ナノバブル水で58%であり、過酸化水素水では濃度が0.1mM, 0.2mM, 0.3mMおよび0.5mMのときに、それぞれ、48%, 40%, 58%および54%となった。過酸化水素が種子の発芽を促進することは知られており、それは活性酸素によるものであると理解されている。 以上の結果により、浸漬した種子周囲の水に活性酸素が適度な濃度で存在すると種子の発芽が促進されることが実験的に示され、かつ、ナノバブル水による発芽率の向上の理由の1つが活性酸素の発生に起因するものであることが示された。
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