研究課題/領域番号 |
25660207
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研究機関 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
平藤 雅之 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター大規模畑作研究領域, 領域長 (00370495)
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研究分担者 |
池田 成志 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター大規模畑作研究領域, 主任研究員 (20396609)
西中 未央 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター畑作基盤研究領域, 研究員 (90586158)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 共生微生物 / 植物 / 適応複雑系 / ハイパースペクトルカメラ / レーザー蛍光 / 一般化Lotka-Volterra方程式 / センサーネットワーク |
研究実績の概要 |
バレイショ育種圃場において、ほぼ一定間隔期間(1~2週間)でサンプリングしたバレイショ個体から共生微生物のメタゲノム解析を行った。同定された微生物群を網で分類し時系列的にプロットすると、いわゆる「善玉菌」と呼ばれる微生物群(Alphaproteobacteria)と「悪玉菌」と呼ばれる微生物群(Gammaproteobacteria)が多数を占め、この2群が競合しながら大きく変化するダイナミクスが見られた。Alphaproteobacteriaは初期に多数を占めたが、やがて減少し、代わりにGammaproteobacteriaが多数を占めた。しかし、開花期を過ぎると、再びAlphaproteobacteriaが多数を占めるようになった。興味深いことに、再び増えたAlphaproteobacteriaは別の種群であり、内部での競合が発見された。 これらのダイナミクスを生態系の一般モデルである一般化Lotka-Volterra方程式モデルを用いてシステム同定を行ったところ、2群の動態の近似は完全にはできなかった。これは環境要因の影響と考えられ、本研究で想定していた環境データ同時取得の重要性を示している。同圃場の近くに設置していたセンサネットワークのデータを用いて解析する予定である。 またサンプリングした直後にハイパースペクトルカメラによって、上葉から下葉のスペクトラム画像を撮影した。現在、このデータと微生物群動態との相関関係等を解析中である。ただし、スペクトラムデータだけでは情報が不十分であることが予想されるため、微生物群の蛍光を見るため、近赤外、赤、緑、青の半導体レーザー(安価で扱いが簡単なレーザーポインタを使用)で植物葉を照射し、その時の蛍光をハイパースペクトルカメラで撮影することを試みた。この方法によって特徴的なデータが得られた。 今後、上記の実験方法及び計測システムを統合し、大規模にデータを収集できるようにすることで、植物と共生微生物群動態のメカニズムを適応複雑系として解明できると期待される。
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