研究課題/領域番号 |
25660210
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高橋 伸一郎 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (00197146)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 代謝・内分泌制御 / インスリン受容体基質 / RNA / 翻訳 |
研究概要 |
インスリン様成長因子(IGF)/インスリン(INS)は、特定の遺伝子の転写、タンパク質の翻訳を誘導し、動物の成長や発達などを発現することが知られている。最近、申請者らはIGF/INS シグナル伝達に重要な受容体チロシンキナーゼ基質の一つ、インスリン受容体基質(IRS)-1 が、RNA 代謝に関与する多数のタンパク質と複合体を形成しており、IRS 複合体にRNA が含まれることを発見した。本研究では、IRS 複合体に含まれるRNAを同定し、当該RNA の代謝制御・機能制御にIRS-1 複合体が果たす役割を調べ、「IGF/INS が、IRS を介した全く新しい分子機構で標的RNA の代謝・機能を調節し、インスリン様活性を発現している」ことを証明する。本年度は、まず、これまでの研究でPABPC1がIRS-1と相互作用するタンパク質として同定されていることから、IRS-1複合体にはmRNAが構成因子として含まれ、これを介して翻訳開始因子も存在している可能性を検討した。その結果、IRS-1は、増殖刺激の有無に関わらずmRNA-protein complex (mRNP) と相互作用しているが、増殖刺激に応答して起こる翻訳活性化状態では翻訳マシナリーの足場として機能し、翻訳促進に新しい機構で関与していることが明らかとなった。一方、IRS-1は既知のRNA結合ドメインは有していないが、RNAと直接結合する可能性も考えられる。そこで、in vivo UV-crosslinking and immunoprecipitation(CLIP)法によりIRS-1と直接相互作用するRNAの同定を試みた。CLIP法により同定されたRNAには、mRNAの他、non-coding RNAやrRNAも含まれていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
IRS-1に相互作用するタンパク質により翻訳やリボソーム生合成が制御されることを初めて明らかにすることができ、さらにIRSと相互作用する他のRNAの同定やその機構の解析を行うことができた。このように研究の進捗状況は順調と言える。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、研究計画を更に進め、IRSやIRSと相互作用することが明らかとなったスプライスソーム調節タンパク質であるPRMT5などをノックアウトした細胞で、RNAの代謝やインスリン様活性が変動しないかについて検討を加える。
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