鳥類では受精時に多数の精子が卵子内に侵入する多精受精を行うため、顕微受精による個体作出は困難であった。本研究では、精子に含まれるホスホリパーゼCzeta、クエン酸合成酵素およびアコニット酸ヒドラターゼを用いれば多精受精を体外で再現可能であることを示した。鳥類の卵子は受精時に特徴的なカルシウム波が観察される。精子侵入直後に起こる一過性の上昇反応とその後1時間以上継続するスパイラルカルシウムオシレーションである。前者は減数分裂の再開に必要であり、後者は初期発生の進行に重要であることを突き止めた。以上、本研究により、鳥類の受精メカニズムの理解が大きく進んだ。
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