研究課題/領域番号 |
25660214
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
山内 伸彦 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (00363325)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | Ihh / 子宮内膜 / ウシ / スフェロイド / P4 |
研究実績の概要 |
Hedgehogファミリーに属するIndian Hedgehog(Ihh)は着床関連因子の一つであり、ノックアウトマウスにおける研究から着床に必須であることが報告されている。しかし、Ihhの制御機構や具体的な機能については未解明な点が多くある。昨年度は、ウシ子宮内膜の腔上皮および腺上皮においてIhhが発現していることを明らかにした。今年度は、ウシ子宮内膜におけるIhhの発現制御機構を明らかにすることを目的として研究行った。 屠場由来のウシ子宮を卵胞期、黄体期および着床期に分別して子宮組織を採取し、real-time qPCRおよびウエスタンブロッティングにてIhhの発現を解析した。また、ウシ子宮内膜間質細胞(BES)と上皮細胞(BEE)を分離し、Ihh発現に対するP4の影響を調べた。BESとBEEで構成されるヘテロスフェロイドを作製し、Ihh発現に対するP4の影響をreal-time qPCRおよびウエスタンブロッティングにて解析した。さらに、BESが産生する因子の影響を調べるため、P4で処理したBESホモスフェロイドの培養上清を回収し、ヘテロスフェロイドのIhh発現に対する影響を解析した。 性周期を通して、ウシ子宮でIhhの発現が認められた。その発現量は卵胞期と比較して黄体期および着床期において有意に高い値を示した(P<0.05)。単層培養細胞ではP4の影響は認められなかったものの、ヘテロスフェロイドでは対照区と比較して、Ihh発現が有意に高い値を示した(P<0.05)。さらにホモスフェロイドの培養上清を用いた解析では、P4処理を行った培養上清添加区においてIhh発現が対照区と比較して有意に増加した(P<0.05)。P4処理培養上清にRU486を添加した区においても対照区と比較して有意に高い値を示したことから、P4によってBESで産生が誘導される何らかの因子が、BEEのIhh発現を促進することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、Ihhの発現制御機構を明らかにするために、まず生体外におけるモデルの確立を行った。その結果、細胞非接着性のU字型底面培養プレートであるマイクロスフェアアレイによってウシ子宮内膜スフェロイドを容易に作製できる事を示した。さらに、ウシ子宮内膜スフェロイドを用いてIhhの発現制御機構を解析し、ウシ子宮内膜上皮細胞(BEE)におけるIhhの発現は、P4が直接制御しているのではなく、P4によってウシ子宮内膜間質細胞(BES)で産生が誘導される何らかの因子がBEEのIhh発現を促進することを示した。 これらの結果から、ほぼ計画通りに今年度の目的を達成していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度はほぼ計画通りに研究を推進する事が出来た。 上皮細胞(BEE)と間質細胞(BES)から構成されるウシ子宮内膜ヘテロスフェロイドは、BEEとBESの相互作用を生体外で解析する上で有用なモデルと成り得る。本年度は、Jhhの発現制御機構を解析する上で必須と成る生体外モデルを、スフェロイドとして開発できた事は研究の大きな進展と成った。また、構築したヘテロスフェロイドを用いて、P4が間接的に上皮細胞におけるIhhの発現を制御している事を明らかに出来た。 平成27年度は、P4の作用によって間質細胞で産生される仲介因子を同定し、子宮内膜におけるIhhの発現制御機構を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
小額であるため適当な価格の物品が無かったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に追加して使用。
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