研究課題
一般に、凍結保存(融解)後の精子運動性は低く、さらにその受精能も低い。ラット非外科的人工授精時にオキシトシン(OXT)を雌の腹腔内投与することにより、注入凍結融解精子の卵管への輸送数が増加し、妊娠率が向上、その産仔数も増加する。そこで、精子凍結保存後の効率的な個体復元法の開発を目的に、ラット凍結融解精子のメディウムR1ECMに様々な濃度の生物由来OXT(Hormone OXT)もしくは合成ペプチドのOXT(Peptide OXT)を添加して、その精子運動性(精子の運動率と前進率)を調べた。その結果、融解5時間目の10 nM Peptide OXT添加メディウムの精子運動率は、無添加の対照区よりも有意に(P < 0.05)高い値を示した。そして、この10 nM Peptide OXT添加メディウムを融解液として用いて、ラット凍結精液の外科的人工授精を実施し、その10 nM Peptide OXT添加融解液に感作させた凍結精液から産子作出を確認した。この本研究の結果より、Peptide OXTをラット凍結融解精子に感作させることで、その精子運動性を改善させ、新たな人工授精法の応用の可能性が示唆された。さらに、ブタ凍結融解精子についても同様な実験を実施したが、OXTが精子運動性に対する効果は認められなかった。ラット精子におけるOXTレセプターの存在、その分布を調べる目的で、OXTレセプター遺伝子の発現をRT-PCRによって解析した。また、Western Blotting法によりそのタンパク質を検出し、免疫抗体染色法でその局在を調べた。その結果、ラット凍結融解精子でOXTレセプター遺伝子が発現しており、OXTレセプタータンパク質が存在することが確認され、さらに、精子尾部の主部および終末部に局在することが明らかになった。
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