研究課題
挑戦的萌芽研究
ウシの正確なバイタルデータの検出および最適な牛の健康状態管理を実現するため、ウシの体内インプラント(埋め込み型)のセンシングデバイス、いわゆるインプラントセンサー/アクチュエータの実現に向けた研究開発を行うことを目的としている。従来の外付けの機器ではなく、体内に埋め込み可能なインプラント型の機器を実現することで、ウシにも人にも優しいスマートな畜産営農を実現させる繁殖牛管理や放牧牛等管理の礎とする。本研究は、富士通株式会社、NTT西日本株式会社およびNICT(情報通信研究機構)と協力して開発するものであり、ウシ管理の労力低減や効率化を実現する未来の技術として期待できる。本成果は、ウシ管理の省力化と効率化に貢献するだけでなく、ペットや、さらに将来的に、ヒトへの適用に向けた基礎研究にもつながるものと強く確信する。平成25年度は,某メーカーが開発中の小型温度センサー(バッテリー必要)とバッテリーレスの小型温度センサーを埋め込み用に産業総合研究所の協力を得て加工し,ウシの皮下にインプラントし,体温センシングを試みた。無線による体温情報センシングが可能であることが証明されたが,いくつかの課題も見つかり,本年度課題の解決に向けて研究を展開する予定である。
2: おおむね順調に進展している
平成25年度は,ウシへのインプラント機器の埋め込み方法などの基礎研究と実際に温度センサーを埋め込む実証試験を行った。ウシのバイタルデータを的確にセンシングでき、牛に対してストレスが最も小さいインプラント機器の埋め込み方法の検討を行った。まず適性な温度センサーの探索を行った。某メーカーが開発中の小型温度センサーを採用した。また同メーカーが開発中のバッテリーレスの温度センサーについても注目し,これらをできるだけ小型にパッケージし,ウシへのインプラントを行った。ボタン電池を使用する小型温度センサーは,牛房にて無線でウシの体温をセンシングできた。しかしながら安定するまでに10時間程度を要した。また,バッテリーレスの温度センサーも無線で温度センシングはできたものの受信機とインプラントしたウシの距離が短く,さらなる改良が必要と思われた。今後は両温度センサーについて,さらなる体温センシングの精度をあげること,またセンサーの小型化の可能性を追求して,長期のインプラントに対する牛体への影響をも観察する予定である。
本年度は,昨年度試作した両温度センサーについて,さらなるセンシングの精度をあげること,また小型の可能性を追求して,長期のインプラントの機器への影響を観察する予定である。またインプラントした機器が牛体に及ぼす影響についても検討を行いたい。また,体内に埋め込まれたインプラント機器と体外を通信する方法の基礎検討も行う。皮膚の水分が無線通信の障壁となっている。体内に埋め込まれたインプラント機器と体外とを疎通させる方法として無線通信が考えられる。しかしながら、ウシの肉体が電波伝搬に及ぼす影響はいまだはっきりとした指針がない。そこで牛の筋肉、皮脂、表皮などが及ぼす影響を明確にする必要もある。本研究ではこれらの牛のこれらの体組織が無線伝播環境に及ぼす影響を実験により測定して明らかにする。また牛の体組織にマッチし、インプラント機器に組み込み可能なアンテナ開発のための基礎実験を行う。さらに,対外に取り出した温度情報をエンドユーザーのスマートフォン等のデバイスに送るシステムについてもITメーカーと協議して構築する予定である。
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