ウシ乳腺上皮細胞株(BMEC)培養系において、lactogenesisの過程で分泌されるエクソソーム性microRNAに対する分化の影響を調べた。BMECにデキサメタゾン、インスリン、プロラクチンを加えて分化誘導し、培地にエクソソームとして分泌されるmicroRNAを回収した。定量的PCRによりmicroRNAの発現を解析したところ、分化誘導した細胞の培地ではmiR-339aが、細胞内ではmiR-21-5p、miR-26a、miR-320aの発現が未分化細胞に比べて有意に低かった。また、分化した細胞ではmiR-148aの発現が未分化細胞に比べて有意に高く、その培地/細胞の存在量比も分化細胞で高かった。分化細胞で発現が低下した3種のmicroRNAに対し、標的を予測した後にその標的遺伝子群が関与する細胞生物学的現象を遺伝子オントロジー解析を行った結果、transcriptional regulation、protein phosphorylation、tube development等の用語が抽出され、変動したmicroRNAがlactogenesisに深く関わることが示唆された。
|