研究課題/領域番号 |
25660224
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
堀 正敏 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (70211547)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | CPI-17 / フォスファターゼ / 平滑筋 / 消化管 / 血管 / がん / 高血圧 / ゲノム編集 |
研究概要 |
初年度は、CPI-17遺伝子欠損ES細胞を用いてキメラマウスの作製を試み、さらにはCPI-17欠損マウスの作製に従事した。しかし、キメラマウスの作出が出来なかった。その原因について様々な検証を行ったが原因を突き止めるに至らなかった。そこで、ES細胞を用いることをあきらめ、あらたにCRISPR/Cas9ゲノム編集システム技術を導入し、CPI-17変異マウスの作製に着手した。これまでの研究成果より、CPI-17はThr38のリン酸化により活性化され、標的タンパク質であるミオシンホスファターゼ触媒サブユニットPP1cδと結合し、ホスファターゼ活性を直接抑制することが知られている。そこで、MutagenesisによりThr38をGlutamic acidに置換したConstitutive active CPI-17(以下CA[T38E]CPI-17)と、Thr38をAlanineに置換したDominant negative CPI-17(以下DN[T38A]CPI-17)、CPI-17の全欠損(以下CPI-17 KO)のコンストラクトを作製し、それらを使って3種類のCPI-17ミュータントマウスの作製をデザインした。現在、CPI-17 KOマウスについては個体が得られ、そのシークエンスを確認すると共に、継代によりGerm lineにミュータントが乗っているか確認作業中である。CA[Thr38E]CPI-17とDN[Thr38A]CPI-17については、第1回目の試行では成功に至っていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
得られていたCPI-17欠損ES細胞を用いたキメラマウスの作製が、原因不明のまま成功せず、その原因追及に研究開始から8ヶ月を要してしまった。しかし、方針をES細胞使用からCRISPR/Cas9ゲノム編集システムに変更し、すでに変異マウス作製の段階まで来ている。
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今後の研究の推進方策 |
方針をES細胞使用からCRISPR/Cas9ゲノム編集システムに変更し、全欠損マウスのみならず、Constitutive active CPI-17(CA[T38E]CPI-17)とDominant negative CPI-17(DN[T38A]CPI-17)の計、3種のCPI-17変異マウス作製を目指すことにした。2年度に向けて、これら3種類のCPI-17変異マウス作製により、当初の計画であったsiRNAの実験などin vitroの実験にもこれらの変異マウスから採取した平滑筋細胞を用いることで対応していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
初年度に計画されていたキメラマウスからのKOマウス作製に必要な動物繁殖経費は、KOマウス作製失敗によって使用出来なかったことから、来年度に予定よりも高額の動物作出と繁殖費用が必要となる。よって、予算を2年度に大幅に移動させた。 CPI-17の全欠損マウス、CA[T38E]CPI-17マウス、DN[T38A]CPI-17マウスの計3種類を作製することから、そのシークエンス確認や繁殖経費に研究費を充てる。また、得られたマウスより高血圧モデルなどの疾患モデルの作製を行って解析するとともに、血圧や消化管輸送能など生理的機能解析に研究費を使用する。さらに、各変異マウスからMutant CPI-17平滑筋細胞の作出ならびにそれらのMurant細胞の研究への利用に経費を必要とする。
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