研究課題/領域番号 |
25660225
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
杉山 誠 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (80196774)
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研究分担者 |
大沢 匡毅 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10344029)
伊藤 直人 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (20334922)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 狂犬病ウイルス / 病態発症機序 / トランスジェニックマウス |
研究実績の概要 |
本研究では、狂犬病の病態発症機序の解明を目的とし、狂犬病ウイルス因子を神経特異的に調節発現するトランスジェニック(Tg)マウスを樹立することで、狂犬病の治療標的となるウイルス因子の同定を試みている。具体的には、特定ウイルス因子の発現誘導によりマウスが狂犬病類似の症状を示すか否かを検討する(実験1)。同時に、特定の遺伝子が欠損したウイルスを、当該ウイルス蛋白質を発現するTgマウスに脳内接種することでマウスを発症させた後、同蛋白質の発現の停止によってマウスが回復するかどうかを検証する(実験2)。 H26年度は、実験2に使用する目的で、L遺伝子をホタルルシフェラーゼ(Luc)遺伝子に置換した狂犬病ウイルス西ヶ原株(L遺伝子欠損ウイルス)の作出に成功した。さらに、G遺伝子をGFPあるいはLuc遺伝子に置換したウイルス(G遺伝子欠損ウイルス)も作出することができた。現在、N遺伝子を欠損したウイルスも作製中である。 また、実験2のin vitroモデルを確立する目的で、ウイルスL蛋白質を調節発現するマウス神経芽腫由来NA細胞を樹立した。本細胞系を用いることで、L蛋白質の発現誘導によりL遺伝子欠損ウイルスの複製を調節することができた。 さらに、実験1および2におけるTgマウスを作製するためのプラスミドの構築も実施した。具体的には、L蛋白質を発現する神経細胞を特定するため、赤色蛍光蛋白質(mCherry)を同一プロモーターから発現するプラスミドを作製した。複数のプラスミド・クローンをNA細胞に導入することでその機能性を確認したところ、各クローンの間でL遺伝子欠損ウイルスの複製を調節する機能に差が認められた。現在、Tgマウスの作製に活用可能な最適なクローンを選択中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
プラスミドの機能性に差異が認められるという予期しない事態が起こったため、Tgマウスの作製が予定よりも若干遅れている。しかし、この問題に対処しながらも、各種の遺伝子欠損ウイルスやL蛋白質調節発現NA細胞の樹立に成功しており、総合的には本研究は順調に進行していると言える。さらに、今回樹立したL遺伝子欠損ウイルスは、L蛋白質の機能解析やウイルスの初期転写を研究する上で有用なツールとなることが確認されており、今後の研究の進展が期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、Tgマウスの作製を最優先とする。すでにLおよびG遺伝子欠損ウイルスの樹立に成功していることから、LおよびG蛋白質を調節発現するTgマウスから順次作製していく予定である。作製後は、実験1および2の両者を同時並行で実施していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
残予算が少額のため、次年度に繰り越して次年度予算と共に有効に利用するため
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次年度使用額の使用計画 |
次年度予算に加えて使用する。
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