柴犬等の日本犬の赤血球には未熟な性質である細胞内高カリウム(HK)型形質がみられる。本研究ではHK型形質の原因遺伝子の同定とその機序の解明を目的とした。HK型犬家系に対するゲノムワイド関連解析により、HK形質の原因はTSPO2遺伝子変異であることが明らかになった。また、TSPO2発現K562細胞における細胞内コレステロール分布を比較したところ、野生型TSPO2発現細胞において、C変異TSPO2発現細胞と異なるコレステロールの細胞内分布を示した。このことから、変異TSPO2ではコレステロール輸送機能異常が存在することが示唆された。赤芽球成熟にTSPO2は重要な役割を果たすことが明らかとなった。
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