本年度,申請研究から以下3つの結果が得られた.しかし,精巣媒介性核移植法の確立までには至らなかった. 第一に,精巣を酵素処理することで細胞を分離し,ヤギ幹細胞を分離することができた.また,同幹細胞を短~中期培養しても,一定の未分化能を保持させられる培養法が確立できた.第二に,精巣幹細胞へウイルスベクターを用いてトランスフェクションすることは困難であった.第三に,in vitroで遺伝子改変をした細胞を精巣へ注入することによって,GFPを発現した細胞の定着が認められた. 以上のことから,精巣媒介性核移植法の確立における最大のハードルは,精巣幹細胞の遺伝子改変であることが明らかになった.ここをクリアすることが可能となれば,1頭の雄ヤギのみで遺伝子改変精子,ひいては遺伝子改変個体を作製できる可能性があるため,今後,この点を中心に研究を進めていく必要があると考えられた.
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