本研究は、冬眠することのない動物において冬眠と同等の低体温を誘発し、種々の疾病に対する低体温療法に応用することにチャレンジした。冬眠動物であるハムスターにおいて、イソフルランの吸入麻酔下で冷却して体温を低下させ、体温が25℃付近になったときに吸入を停止することにより、正常な心拍動を維持した状態で極度の低体温に誘導できることを見出した。この知見を非冬眠動物であるラットに適用し、極度の低体温に誘導することに成功した。また、ハムスターの心臓が低温耐性を示す機序を解析し、体温ショックタンパク質の発現調節が寄与することを示唆する結果を得た。
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