研究課題
挑戦的萌芽研究
カイコの胚休眠誘導は母蛾の胚期の温度や光、さらに幼虫期の栄養条件により複合的に決定される。光と温度センシング機構間の接点を探るために、次の [A] ~ [C] の3つの研究計画を実行し、胚期のオプシンの機能を明らかにするとともに、この光センサー分子と温度センサーである BmTRPA1 の活性化とシグナル伝達系の活性化に関わり、休眠誘導に協調的に働く分子の探索を行なった。[A] カイコ胚の光感受特性と休眠性との関係の解析。[B] 胚期のオプシン遺伝子の発現調節機構と休眠誘導への影響の調査。[C] RNA-seq 解析による光・温度センサーのノックダウンにより発現量が変化する分子群の探索。[A] では、LED ライトを用い、休眠誘導に関わる光波長、照度、および胚の感受性時期の決定を試みた。[B] では、リアルタイム PCR 法により、あるオプシン遺伝子の胚期における 25 ℃・全暗および 20℃・全明のそれぞれの発現が 15℃・全暗および 20℃・全暗に比べて高いことを確認した。また、BmTRPA1 のノックダウン個体では、このオプシン遺伝子に発現が低下することが分かり、BmTRPA1 の活性化が光センサーの発現に関与している可能性を確認した。さらに、ゲノム編集技術の TALEN を利用し,このオプシン遺伝子のノックアウト個体を作出を行なっている。最後に、[C] では、 20℃・全明および 20℃・全暗で発現量の異なる遺伝子を同定するため RNA-seq 解析を行ない 100 個程度の遺伝子をピックアップした。
3: やや遅れている
交付申請書に記載した研究の目的に沿い、[A] カイコ胚の光感受特性と休眠性との関係の解析。[B] 胚期のオプシン遺伝子の発現調節機構と休眠誘導への影響の調査。[C] RNA-seq. 解析による光・温度センサーのノックダウンにより発現量が変化する分子群の探索。に関して、研究実施計画通りに進行している。但し、[A] において光感受性の特性に関しては目的とする結果まで到達していない。
やや遅れているため、[A] を重点的に進め、論文として纏める準備を始める。
当初計画で見込んだよりも安価に研究が進行したため、次年度使用額が生じた。次年度はこの予算と次年度予算を合わせた研究費を推進方策の各項目に使用する。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件)
Proc Natl Acad Sci U S A
巻: 111(13) ページ: E1249-E1255
10.1073/pnas.1322134111.