近年カイコは遺伝子組換え技術の進歩により遺伝子組換えカイコの作出が容易となり、産業利用への研究が急速に進められている。一方系統の保存では、卵巣や精子を液体窒素で凍結保存後に個体を再生させる技術が開発されているが、この方法では十分な量の卵巣や精子の採取に多くの労力を要し、液体窒素を使用する限り永続的にコストが掛かってしまう。また、災害時に液体窒素が枯渇し系統を喪失してしまう危険がある。そこで本研究では哺乳動物で開発されている凍結乾燥(フリーズドライ)した精子から顕微授精法(ICSI)により個体を再生させる方法に着目し、昆虫への適用の可能性を検討した。 今回の実験結果は、精子を注入した区ではカイコの卵を賦活化することが示唆されたが、期待される個体の発生は認められなかった。
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