研究課題/領域番号 |
25660278
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
上高原 浩 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (10293911)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 低炭素社会 / セルロース / セルロース誘導体 / カーボンナノチューブ |
研究概要 |
セルロースアセテートの分子末端にアジド基を導入し、還元反応によりアミノ基へと変換した後、末端アジド化ペンタデカノイル基をアミド結合を介して導入した。 また、リシンのアミノ基に1-pyrenebutyric acidが導入され、カルボン酸にpropargylamineが導入された化合物、Nα,Nε- bis(1-pyrenebutyryl)-L-lysine-N'-propargylamideをリシンから4段階の反応で得た。この合成ルートはリシンデンドロン合成に適用出来るため、次年度以降の第2、第3世代デンドロン合成の基礎となるものである。 次いで、セルロース誘導体分子末端のアジド基とリシン誘導体末端のアルキン基をHuisgen 1,3-dipolar cycloaddition反応により結合させ、セルロース誘導体分子末端に二つのピレン基を有する化合物を得た。この化合物の蛍光スペクトル(励起波長: 335 nm)を測定したところ、478 nm付近にエキシマー由来の蛍光が見られた。分子中のピレン基二つがリシン残基に共有結合しているため、ピレン残基同士が近い位置に存在している事が確認された。 以上、セルロース分子末端に複数個のピレン残基を導入する方法論を確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新規化合物であるピレン基を2残基導入したリシン基を分子末端に有するセルロースアセテート誘導体を合成し得たことは、本研究課題を今後発展的に遂行する上で大変重要な第一歩であるから。
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今後の研究の推進方策 |
今年度はまず化合物の合成を最優先し、複数個の化合物を精密合成した上で、カーボンナノチューブの分散性能の違いを検討する予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
若干実験計画を変更したため、物品費として単層カーボンナノチューブ (SWCNT) を購入せず、その分散に関する実験を行わなかった事、実験補助者として適切な人物が見つからず人件費を使用しなかった事、偶然にも出席を予定していた学会の会期が完全に重なり出席出来ず、予定していた旅費を使用しなかった事が重なり、使用計画と実支出額との差が生じた。 本年度は下記の通り経費を支出し研究を進展させる予定である。 (1) 適切な実験補助者の雇用を実現する。(2) SWCNTの分散実験を開始する。(3) 計画していた学会への参加を実現し、情報収集を強化する。(4) 薄膜トランジスタを作成する。
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