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2013 年度 実施状況報告書

我が国の農耕地土壌におけるフッ素蓄積の実態

研究課題

研究課題/領域番号 25660280
研究種目

挑戦的萌芽研究

研究機関鹿児島大学

研究代表者

赤木 功  鹿児島大学, 農学部, 助教 (40500004)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード農耕地土壌 / フッ素 / 土壌蓄積
研究概要

本年度は,施設土壌におけるフッ素の土壌蓄積状況の調査を行った.鹿児島県および宮崎県内11地域の施設栽培農家の現地圃場から施設土壌を,また,これらの地域内の非農耕地から非農耕地土壌をそれぞれ採取し,全フッ素および水溶性フッ素含有率について測定した.その結果,以下の知見を得た.
1)土壌中の全フッ素含有率は,施設土壌が157~411 mg/kg(平均:272 mg/kg),非農耕地が52~243 mg/kg(平均:162 mg/kg)の範囲にあった.23地点の施設土壌のうち20地点が,その地域の非農耕地土壌よりも全フッ素含有率が高い値を示し,施設土壌において土壌へのフッ素蓄積が生じていることが示唆された.また,非農耕地の全フッ素含有率は土壌型(農耕地土壌分類)によって違いがみられ,灰色低地土が164~243 mg/kg(平均:201 mg/kg),黒ボク土が114~220 mg/kg(平均:169 mg/kg),砂丘未熟土が53~72 mg/kg(平均:65 mg/kg)の範囲あった.このことから,土壌型によって全フッ素含有率のバックグラウンド値に差異があることが考えられた.
2)土壌中の水溶性フッ素含有率は,施設土壌が1.6~18.0 mg/kg(平均:1.6 mg/kg),非農耕地が0.1~4.8 mg/kg(平均:5.4 mg/kg)の範囲にあった.23地点の施設土壌のうち19地点が,その地域の非農耕地土壌よりも水溶性フッ素含有率が高い値を示し,全フッ素と同様に水溶性のフッ素についても土壌への蓄積が生じていることが示唆された.これらの中には,非農耕地土壌の38倍に相当する水溶性フッ素を含有する圃場も存在することが明らかとなった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は,土壌調査および試料採取・収集を集中的に実施した.これにより,約200点の土壌試料の採取・収集が完了し,研究実施計画において,本年度に採取を予定していた土壌試料だけでなく,次年度(平成26年度)に予定していた試料についても確保することができた.一方,土壌化学分析については,34点の施設土壌の全フッ素および水溶性フッ素含有率について分析を終了した.これにより,本研究を始めるにあたって想定していた「農耕地土壌へのフッ素の蓄積」が多くの圃場で発生している可能性があることを確認することができた.試料採取・収集が予定よりも早く進展しているので,次年度は土壌化学分析を集中的に実施し,さらなる分析データの蓄積を図りたい.

今後の研究の推進方策

次年度以降,以下の2項目を中心に研究を推進する.
1)農耕地土壌におけるフッ素の土壌蓄積実態の把握
今年度は施設土壌においてフッ素の土壌蓄積が生じていることが明らかとなった.今後は,畑地土壌(黒ボク土・赤黄色土)および水田土壌(灰色低地土)について分析を実施し,これら栽培形態の異なる農耕地においても施設土壌と同様にフッ素の土壌蓄積が生じているか明らかにする,また,今年度の調査・研究で見いだされた土壌型によるフッ素含有率の違いについても同時に再検証したい.
2)リン酸肥料とフッ素蓄積との関係性の解明
農耕地土壌へ負荷されるフッ素の供給源としてリン鉱石を原材料とするリン酸肥料を予想している.まずは,今年度フッ素の分析が終了した施設土壌について,土壌中フッ素含有率とリン酸含有率(全リン酸,Ca型リン酸等)との関係性を検証し,リン酸肥料による農耕地へのフッ素の持ち込みの可能性について考察する.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2014

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 施設栽培圃場における土壌中フッ素濃度の実態調査2014

    • 著者名/発表者名
      赤木 功・佐藤賀俊・樗木直也
    • 学会等名
      第23回環境化学討論会(日本環境化学会)
    • 発表場所
      京都市
    • 年月日
      20140514-20140516

URL: 

公開日: 2015-05-28  

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