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2014 年度 実施状況報告書

我が国の農耕地土壌におけるフッ素蓄積の実態

研究課題

研究課題/領域番号 25660280
研究機関鹿児島大学

研究代表者

赤木 功  鹿児島大学, 農学部, 助教 (40500004)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードフッ素 / 農耕地土壌 / 黒ボク土
研究実績の概要

昨年度にフッ素含有率を測定した施設土壌について,土壌中全リン含有率,酸性シュウ酸塩可溶鉄・アルミニウム含有率等を測定し,これらの土壌化学性とフッ素の土壌蓄積との関係性について検証した。その結果,以下の知見を得た。
1)全フッ素含有率と全リン酸含有率との間には有意な正の相関が認められた。このことから,リンの主要な供給源であるリン酸質肥料が土壌に蓄積しているフッ素の主要な負荷源である可能性が示唆された。
2)また,全フッ素含有率は酸性シュウ酸塩可溶鉄・アルミニウムおよび土壌有機物含有率とも有意な正の相関が認められた。このことから,活性鉄・アルミニウムや土壌腐植が土壌のフッ素吸着に大きく関与していることが推察された。
また一方,本年度は,黒ボク普通畑土壌を中心にフッ素の土壌蓄積状況について調査を行った。鹿児島県内生産者の現地圃場から普通畑黒ボク土を,また,同地域内の非農耕地から非耕地黒ボク土を採取し,全フッ素および水溶性フッ素含有率について測定した。その結果,以下の知見を得た。
1)土壌中の全フッ素含有率は,普通畑黒ボク土が135~420 mg/kg(中央値:243 mg/kg),非耕地黒ボク土が213~349 mg/kg(中央値:265 mg/kg)で,両者に有意な違いはみられず,黒ボク普通畑土壌では顕著なフッ素の土壌蓄積は認められなかった。
2)水溶性フッ素含有率は,普通畑黒ボク土が0.27~29 mg/kg(中央値:7.5 mg/kg),非耕地黒ボク土が0.42~6.3 mg/kg(中央値:1.6 mg/kg)であった。また,水溶性フッ素含有率と土壌pHとの間には一定の傾向が認められた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本年度は,「フッ素の負荷源の一つとしてのリン酸質肥料の関与の可能性」について明らかにすることができ,本研究の大きな目標の一つを達成することができた。これは本研究における大きな成果であると考えられる。ただし,当初計画よりも土壌分析(フッ素の分析)が遅れ気味である。その大きな原因は,マンパワーが不足ぎみであることが考えられる。来年度は,人員配置を見直し,より効率的な研究の推進を図りたい。

今後の研究の推進方策

1)上半期は水田土壌(灰色低地土)を,下半期は普通畑土壌(赤黄色土)の全フッ素濃度の分析を進め,フッ素の土壌蓄積がどのような圃場で,どの程度進んでいるのかについて考察する。
2)作物吸収と密接に関連すると考えられる水溶性フッ素濃度は土壌pHと関連がある可能性が黒ボク土を用いた調査から予想された。今後はこの黒ボク土で認められた関係が異なる土壌型においても認められることであるのか考察を進める。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Fluorine Concentrations in Greenhouse Soils Sampled from Farms in Southern Kyushu, Japan2015

    • 著者名/発表者名
      Isao AKAGI, Yoshitaka SATOH and Naoya CHISHAKI
    • 雑誌名

      Journal of Environmental Chemistry

      巻: 25 ページ: 63-68

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 施設栽培圃場における土壌中フッ素濃度の実態調査2014

    • 著者名/発表者名
      赤木功,佐藤賀俊,樗木直也
    • 学会等名
      第23回環境化学討論会
    • 発表場所
      京都大学(京都府,京都市)
    • 年月日
      2014-05-08 – 2014-05-09

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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