研究実績の概要 |
ニワトリ突然変異ライブラリー構築のため、前年度に続き始原生殖細胞(PGC)の培養を試みた。前年度と同様STO feeder 細胞上で各種サイトカイン(bFGF, SCF, LIF )を添加して培養を試みた。未分化細胞マーカーSSEA-1の保持という点では改善されたが、細胞増殖はあまりせず再現性も低かった。そこで視点を変え、ニワトリ、PGCの分化能と増殖能を支配している遺伝子を探索し、PRDM14を候補遺伝子として見出した。この遺伝子はニワトリ内部細胞塊やPGCで強く発現するが、PGCの分化に伴ってその発現レベルが落ちるので、PGC分化の引きがね遺伝子と推定した。次にニワトリPRDM遺伝子をクローン化し、その機能を調べたところ生殖細胞特異的に発現するcvh, stellaなどの転写制御に重要な役割をはたしている事を見出した。一方、変異処理に用いるRNA polymerase δについて、さらに変異を起こしやすくするためにその活性中心にL605G 変異を導入した。これによりD402AとL605Gの二重変異を持つニワトリRNA polymerase δの取得が完了した。またニワトリ細胞未分化マーカーであるシアル酸含有糖鎖SSEA-1の生合成経路を調べるため、ニワトリシアル酸転移酵素をクローン化した。
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