1)生体膜の構成成分であるスフィンゴ脂質はその一部が分解することでわずかに生産されるセラミド、スフィンゴシン、スフィンゴシン1-リン酸(S1P)などの代謝産物が,細胞死、増殖、分化などを制御するシグナリング分子として機能することから注目されている。我々は主鎖もしくは側鎖,更に主鎖・側鎖の両方に二重蛍光を導入したセラミド誘導体を開発し、細胞内の特定部位(器官)におけるセラミド代謝を動的かつ網羅的に測定し、がんなどの疾病に深く関わるセラミド代謝の生理的意義の解明を行うことを目的として研究を行ってきた。平成27年度は赤色蛍光団を主鎖に有するセラミドの開発、および主鎖に赤色蛍光団、側鎖に緑色蛍光団を有する二重結合標識セラミドの開発に成功しそれらの細胞内への取り込み効率を観測した。その結果、赤色蛍光団を有するセラミド誘導体は細胞内に取り込まれゴルジを染色することが判明した。 2)主鎖に赤色蛍光団、側鎖に緑色蛍光団を有するセラミド誘導体を合成し細胞内取り込みを観測した。本セラミドの細胞内取り込みは弱く、また発光特性も低かった。蛍光の分子内消光が原因と考えられる。 3)新たな持続性ゴルジマーカーの開発を目指し、1位アシル基、N-アシル基の置換基効果を調査した。
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