タンパク質を始めとしたナノメートルサイズの物質は、構造や状態の微細な違いで物性や作用が異なる。ナノマテリアルの場合は、特に比表面積が大きく、表面状態が物性に大きな影響を与えることから、表面状態に基づいた分離精製法は重要である。そこで本研究では、分離場をナノマテリアルの分離に適合するように精密に設計し、その評価を行った。まず始めに、微量な送液が可能なHPLCシステムを構築し、分析に必要な試料量を大幅に削減することに成功した。特に、試料量が微量な時には、試料導入に用いるオートサンプラーの利用に注意が必要であった。ナノマテリアルを分析するために、アルコキシシランの重合反応によって調製されるシリカ製モノリス構造を利用した。調製条件を変化させることで、貫通孔や微細孔の大きさやカラム長を変化せたモノリスカラムを調製に、その分離能を評価した。その結果、微細孔はナノマテリアルの分離にあまり影響を与えず、主に試料中に存在する低分子化合物の分離に大きな影響を与えることが分かった。貫通孔や表面官能基を調節することで、表面状態や大きさの違いでナノマテリアルを分離することに成功した。そしてナノ粒子の表面修飾や表面へのタンパク質の吸着によって、ナノ粒子の溶出時間が変化することが分かった。さらに本手法は、ナノマテリアルの緩和な条件での迅速な精製法としても利用可能であった。したがって、開発した分析法は今後需要が拡大すると予想されているナノマテリアルの品質や安全性の評価や精製法として利用できると期待される。
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