がんのMRIの精度向上のためにはがん特異性に優れたMRI造影剤の開発が必要である。本研究では、腫瘍内の低pH環境に応答して溶解するリン酸カルシウムを主成分とする高分子ミセルにMRI造影能を有するMn2+イオンを搭載した。本システムは腫瘍内の低pH環境で選択的にMn2+イオンを放出し、Mn2+イオンがタンパク質との相互作用によって緩和能が増大する特性を有することが示された。担がんマウスを用いた動物実験において、高分子ミセルは、既存のMRI造影剤よりも顕著に優れた腫瘍特異的コントラストを示し、さらに低酸素領域のイメージングや肝臓における微小転移の検出においても有用であることが明らかになった。
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