研究課題
本研究課題では、血漿中での高密度リポタンパク質(HDL)形成・構造維持を担うアポリポタンパク質A-I(アポA-I)が、各種脂質と均一サイズの開放構造を有する脂質膜ディスクを人工的に形成することに着目し、1.アポA-Iの人工的改変によるディスクサイズ制御や構造安定性に優れた高機能化ディスク膜骨格タンパク質の創製、2.安定人工脂質やディスク形成ペプチドの設計などの新たな脂質膜ディスク構成材料・方法論の開発、3.膜タンパク質を脂質膜ディスクへ再構成・配向制御するための方法論の開発、を通して、バイオセンサ・バイオリアクタ利用や1分子レベル構造機能解析に有用な新規HDL型膜ディスク/膜タンパク質再構成系の開発を目指している。平成26年度は、1.分子内の様々な領域を欠損したアポA-I変異体の脂質膜ディスク形成能を比較評価することで、アポA-IのHDL型ディスク形成に関わる物理化学的原理構築を行い、アポA-Iのへリックス構造形成性が微小膜環境を提供する膜ディスクの脂質保持能を制御していることが明らかとなった。2.アポA-Iの高脂質親和性領域を模倣したナノディスク形成ペプチド(Nanodisc Scaffold Peptide, NSP)を新たに開発し、目的膜タンパク質をナノサイズの微小脂質膜環境に直接再構成するためのツールとして有用であることを示した。3.膜ディスクの固定化・配向制御を目的として、His-tagやbiotin残基を導入した改変アポA-Iによる脂質膜ディスクの作成とセンサーチップ上への固定化・バイオレイヤー干渉法による反応性の評価を行い、特にbiotin導入アポA-Iが固定化ツールとして有用であることが示された。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (5件)
Biochemistry
巻: 54 ページ: 1123-1131
10.1021/bi501345j
J. Lipid Res.
巻: 55 ページ: 2423-2431
10.1194/jlr.D049445
巻: 53 ページ: 4025-4033
10.1021/bi500340z
Biochim. Biophys. Acta-Mol. Cell Biol. Lipids
巻: 1841 ページ: 1716-1724
10.1016/j.bbalip.2014.09.019