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2013 年度 実施状況報告書

高理論段マイクロキラルカラムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 25670015
研究種目

挑戦的萌芽研究

研究機関九州大学

研究代表者

濱瀬 健司  九州大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (10284522)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワードクロマトグラフィー / 分離分析 / 光学分割 / アミノ酸
研究概要

アミノ酸分析は1940-50年頃から世界各国で臨床化学診断に利用され、様々な疾患の診断、病態解析に威力を発揮してきた。しかし現在のアミノ酸分析装置はアミノ酸の光学異性体を区別できず、アミノ酸含量はDL体の混合物として評価されている。これは高等動物体内のアミノ酸は大部分がL体であるという知見に基づくもので、D体は半世紀にもわたって殆ど着目されていなかった。しかし、1990年頃からヒトを含む哺乳類中でもD-アミノ酸の存在や機能が報告され、光学異性体を区別するアミノ酸メタボローム分析法の開発が切望されている。
一方でアミノ酸光学分割においては、数多くの研究者が「1本で代謝関連アミノ酸全てを光学分割でき、かつ高い理論段を有する高性能キラル固定相」の開発を試みてきたが、未だ達成されていない。従って各アミノ酸の光学分割に際しては、それぞれ分離可能な固定相をスクリーニングして利用するのが現状であり、実試料では夾雑成分との分離も問題となる。本研究でチャレンジする高理論段マイクロキラルカラムの開発は光学異性体を区別するアミノ酸メタボローム分析法の実用展開、及び高性能化の鍵である。
平成25年度はパークル型キラル固定相を中心とし、市販およびオリジナルの15種のキラルセレクターについて、粒子径5ミクロンの微粒子型基材に結合させて高性能キラル固定相を作製を行った。その結果、シリカゲル基材に存在するアミノプロピル基がアミノ酸の保持に相関すること、キラルセレクターの導入量が光学分割を支配することを示し、それぞれ0.3 mmol/g、0.4 mmol/g程度が最適であることを明らかにした。また、シリカゲル粒子に存在する細孔径が分離に大きく影響を与えることを示し、100オングストローム以上の細孔が適していることを明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成25年度は市販のキラルセレクターおよび我々が独自に設計したオリジナルセレクターを用い、内径1.5 mmのセミミクロカラムを用いて高性能光学分割カラムを作成するための条件を精査した。ODSなどの逆相カラムと比較して高性能な光学分割カラムの再現的作成に関する知見は乏しく、これを明らかにすることが研究テーマである「高理論段マイクロキラルカラムの開発」を行う上で必須であった。本年度は分離を大きく支配するアミノプロピル基の残存量、キラルセレクターの導入量に加え、シリカ基材の比表面積、密度、細孔径について検討した。その結果、シリカゲル骨格に存在する細孔径の制御が良好な光学分割に必須であることを明らかにした。また、アミノプロピル基の残存量とキラルセレクターの導入量についても、最適値が存在することを示し、それぞれ0.3 mmol/g、0.4 mmol/g程度が最適であることを明らかにした。これらの知見は高性能な光学分割カラムを再現的に作成するうえで鍵となるものであり、研究計画は順調に進展していると思われる。

今後の研究の推進方策

平成25年度の検討結果から、最適なキラルセレクターと最適基材を統合し、高理論段かつ1 mm以下の微小内径を有するマイクロキラルカラムを設計・作製する。市販のキラルセレクターでは全アミノ酸の光学分割は困難であると考えられるため、オリジナルで設計・合成した高い光学認識能を有するキラルセレクターを利用する。併せて、粒子径3ミクロン、2ミクロンの微粒子型基材やモノリス型基材等の高理論段基材に修飾することで光学認識能と理論段を共に向上させる。

次年度の研究費の使用計画

平成25年度は物品費の一部として「光学分割用充填剤作成費」を60万円程度予定していたが、研究の進展により、キラルセレクターよりもシリカゲル基材そのものの最適化が光学分割カラム高性能化の鍵を握ることを明らかにした。シリカゲル自体はキラルセレクターよりも安価であり、これに伴って平成25年度の物品費に差額が生じた。
平成25年度の検討により、高性能光学分割カラムを作成するためのシリカゲル基材が明らかになった。そこで平成26年度にはこれにキラルセレクターを結合させて高性能固定相の作成を行う。キラルセレクターは高価であり、このデザイン、作製に平成25年度の差額を充てる。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Chiral amino acid analysis of Japanese traditional Kurozu and the developmental changes during earthenware jar fermentation processes2014

    • 著者名/発表者名
      Yurika MIYOSHI, Masanobu NAGANO, Shoto ISHIGO, Yusuke ITO, Kazunori HASHIGUCHI, Naoto HISHIDA, Masashi MITA, Wolfgang LINDNER, Kenji HAMASE
    • 雑誌名

      Journal of Chromatography B

      巻: 966 ページ: 187-192

    • DOI

      10.1016/j.jchromb.2014.01.034

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] キラルアミノ酸メタボロミクスの推進を可能とする新規高性能Pirkle型キラル固定相の開発2014

    • 著者名/発表者名
      鬼ヶ原弘久,草野 尚,三次百合香,門田靖彦,西尾康弘,三田真史,浜瀬健司
    • 学会等名
      日本薬学会第134年会
    • 発表場所
      熊本
    • 年月日
      20140327-20140330
  • [学会発表] キラルアミノ酸メタボロミクスの推進を加速する新規パークル型キラル固定相の設計開発2013

    • 著者名/発表者名
      鬼ヶ原弘久,草野 尚,三次百合香,門田靖彦,西尾康弘,三田真史,浜瀬健司
    • 学会等名
      第31回九州分析化学若手の会夏季セミナー
    • 発表場所
      長崎
    • 年月日
      20130726-20130727
  • [学会発表] Simultaneous two-dimensional high-performance liquid chromatographic determination of all proteinogenic amino acid enantiomers in human serum using high performance Pirkle-type chiral stationary phases2013

    • 著者名/発表者名
      Nao KUSANO, Jumpei SASABE, Hirohisa ONIGAHARA, Yurika MIYOSHI, Masashi MITA, Sadakazu AISO, Wolfgang LINDNER, Kenji HAMASE
    • 学会等名
      39th International Symposium on High-Performance Liquid Phase Separations and Related Techniques
    • 発表場所
      Amsterdam
    • 年月日
      20130616-20130620
  • [学会発表] 高性能パークル型キラル固定相を用いるタンパク質構成全アミノ酸光学異性体の二次元HPLC一斉分析2013

    • 著者名/発表者名
      草野 尚,鬼ヶ原弘久,三次百合香,門田靖彦,西尾康弘,三田真史,浜瀬健司
    • 学会等名
      Symposium on Molecular Chirality 2013
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      20130510-20130511

URL: 

公開日: 2015-05-28  

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